ファンフィクション
June 09, 2012
The L Word Season7-11
そういやさぁ、Season7って途中で終わっちゃったの
って思ってる方も、中にはおられるかも?
でも、終わってません。しっかり完結させるつもりでおりますので、
忘れた頃に読み直してくださると、嬉しいです(´_ _`)
前の内容で、記憶が薄れちゃった方は、コチラ
The L Word Season7 (10) をクリックして頂くと、過去のものも一気読み出来ますので、よかったらどーぞ(^▽^;)
・・・では、Season7-11を、お楽しみ下さい
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〜Paris。
ホテルのラウンジに落ちる陽射し。
昼間のホテルは、ビジネスマンも出勤中とあってか、静かな空間と化している。
近くの広場では、外国人観光客が、しきりに写真撮影をしていた。
久しぶり、と手を振り腰を上げた彼女の笑顔は、あの日と変わらなかった。
立ち上がり、ハグをする二人。
懐かしい香り。…いいえ何も知らなかった。当時から彼女は謎めいてたから。
むしろ辛い思い出の方が多いというのに、彼女の付けるエキゾチックな香水の香りが
Jennyをあの日の自分へと誘う(イザナウ)。
『噂は、かねがね聞いてるわよ。』
Marinaが笑う。
その目に吸い込まれぬように、Jennyはテーブルへと目線を落とし、腰掛けた。
『そう?自分の映画を乗っ取られた、間抜けな監督って事で有名なの?笑っちゃうわ。』
俯くJennyの長い睫毛が、微かに風に揺れる。
続けてMarinaも腰を落としながら、崩れぬ笑顔のまま、真っ直ぐに彼女を見つめた。
『そんなこと、ないわよ。』
すらりと長い腕を伸ばし、Jennyの髪をさりげなくなぞろうとする。
しかしJennyは彼女の手を遮るかのように、テーブルに置かれた台本を手に取った。
『髪、伸ばさないのね?似合っていたのに。』
テーブルに肘を付いたまま、Marinaは再度Jennyを見つめた。
『コーヒーを。』
Jennyは黙ったまま、近くにいた店員を呼び止め、オーダーをする。
一瞬、冷たい空気が、二人の前を通り抜ける。
『仕事の話をしましょう。』
真っ直ぐMarinaを見つめ、Jennyは静かなトーンで語りかけた。
『そうね。』
Marinaは、笑顔を崩す事なく、台本に視線を落とした。
〜LA。
慌ただしい引っ越し作業も、仲間がいるだけで助かるもの。
例え業者に任せきりであっても、気分的に変わるものだ。
引っ越しも、滞りなく終わった。
また、アンジーは転校生として、新学校へ通い始めた。
Tinaは、相変わらずバタバタとしているが、新生活は、落ち着きを取り戻しつつあった。
『・・・折角、LAに戻ったのだから。』と、
Betteには、MOCA(美術館)の専属curatorや、UCLAへの返り咲きの話まで来ていた。
しかし、彼女は不思議とあまり未練がないようで、アッサリと断り続けていた。
Betteにはやりたいことがあった。
今を逃すと出来なくなること。
それをTinaに話したかった。
そして、あの事も・・・。
『今日も、帰って来られないのかしら。』
夕食の支度をしながら、Betteはため息をつく。
ふと、家を任せきりにしていた頃の自分と、Tinaの寂しそうな笑顔を思い出した。
一方Tinaは、Focus Futures 新支店の役員として、多忙を極めていた。
役員とは名ばかりの、設立したての会社。
それこそ、事務員に任せていたような庶務的な事まで、見なければならない状態。
家に帰れない日が、連日続いた。
デスクに軽く腰掛け、飲みかけの冷えた珈琲を、溜め息混じりに口にする。
積み上げられた書類。
疲れた肩をそっと、片手で揉み解す。
目線をふと斜めにやると、家族3人の写真が目に入った。
『・・・よし、やりますか。』
珈琲を一気に飲み干し、唇を結び直して、Tinaは部屋のドアを勢い良く開けた。
〜Paris。
打ち合わせも順調に進み、気が付くと、外はすっかり陽が落ちていた。
『今日は、この位にしない?』
Marinaが、彼女に笑顔を向ける。
その笑顔も心なしか、疲労が見えた。
『そうね。後はエージェント達も交えて、本格的にやりましょう。』
伏し目がちのまま、Jennyは台本を閉じる。
『食事でもとらない?』
そう話しかけたのは、意外にもJennyの方からだった。
『そうね。じゃぁ・・・最近見つけたお勧めのレストランがあるから、そこに行かない?』
『あなたに任せるわ。ただ・・・』
『何?』
立ち上がりながら、Marinaが尋ねる。
『今の私、レストランには相応しくない姿だから、着替えたいのだけど。』
『構わないわ。じゃ私はここで待っていればいい?』
一瞬、小さな沈黙がJennyを包む。
きっとその一瞬を、彼女は気付いていないだろう。
『ええ、そうね。悪いけど。』
そう、か細い声で告げ、Jennyは立ち上がった。
March 14, 2012
White Dayですなぁ。 -fanfiction-
ま、いっか。(笑)
お待たせしました。(待ってない?笑)
本日は、White Day。
皆さん、素敵な午後をお過ごしでしょうか?
Valentines Dayの際にかるーくリクエストが入りましたので(?)
ホワイトデーバージョンを作ってみました。
とはいえ、、、実はホワイトデーって、日本特有のものなのです。
(韓国は、あったかも・・・ですが)
とにかく、アメリカではValentines Dayは、男性が女性に
食事を誘ったり、プレゼントをあげたりする日なので
White Dayたるものは、存在しないのですよ。
ってことで、そういう雰囲気を出しつつ、こんな雰囲気にしてみました(爆)
ワケワカランね・・・(笑)
ま、とにかくだ。
楽しんで頂ければ幸いです。
それにしても毎回思うけど、ホントTibetteネタとなると、捗るわぁ・・・
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誘ったのは、Laurelの方からだった。
『ベニスビーチに、良い場所を見つけたの。』
彼女の運転でドライブする事は、珍しい。
とは言っても、二人きりでのドライブすら、簡単に数えてしまえる程度だが。
サングラス越しに、彼女の横顔を見つめる。
潮風が、優しく髪に纏わり付く。
海へと続く、長い桟橋が白く光る。
つがいのカモメだろうか、縦横無尽に滑空している。
二人で歩く海岸。平日だからだろうか、人も疎らだ。
砂に足元を掬われないように、踏み締めて歩く。
『・・・こっちよ。』
振り向き、手を差し出したLaurelの髪の色が 夕陽に交ざり、赤く光る。
足場の悪さに託つけ、手を握る。
柔らかい指先に自分の指を絡め、目線を上げると
彼女は眩暈がする程、愛らしい笑顔をJenniferに向けていた。
『髪、染めたのね。』
サングラスを外し、そう言うと、彼女は恥ずかしそうに髪をかきあげ笑った。
『意気込み、って とこかな。』
『Parisだったわね。私も行きたいわ。』
握りしめた彼女の手の温もりを感じる。
黙ったまま、砂浜を歩く。
しばらく歩いた先に、小さな丘が見えた。
そこには窪みがあり、周りからは調度そこが死角になっていて
ここからだと海と空しか見えない。
『ここ、子供達が見つけたの。』
そう言って、彼女はその場に腰をおろす。
繋いだ手をほんの少し引っ張るようにして、彼女隣にJenniferを座らせた。
『砂だらけになっちゃうわ。』
結んだ手を解き、付いた砂を両手で払う。
風が思うような方角に向かわず、顔に髪が纏わり付く。
思わず顔をしかめると、Laurelが笑顔で髪をなぞってくれた。
『景色、いいでしょ?』
目線を彼女から外し、海を見る。
聞こえるのは潮騒と、彼女の甘い声だけ。
『綺麗ね・・・。』
切なさが、自然と胸に広がる。
二人だけの世界が、もしもこの世に存在するなら・・・
バカな事を考え、目頭を拭うと Laurelは不思議そうに尋ねた。
『泣いてるの?』
『泣いてないわ。砂風が目に入っただけよ。』
潮騒が二人を包む。
無限に広がる地平線を、ただじっと見つめる。
久しぶりに感じる、静かな時間の経過。
心の波風が穏やかになってゆくのを、Jenniferは肩に触れる温もりと共に感じていた。
February 17, 2012
遅れてきた Happy Valentines Day -fanfiction-
私も、カノから毎年チョコを貰います。
今年は 最近の私のお気に入り商品を貰いました
まぁ、、、二人で食べるんですけど(笑)
そのチョコを食べながら、思ったんですよ。
Jennifer&Laurelバージョン、ここで出しても面白いな、と。
これは不思議なもので、Jennifer&LaurelとかTibette onlyの
妄想なら、あっという間に出来上がっちゃうんですよね(笑)
どんだけ好きなんでしょう?www
ま、そういう訳で、チョコを貰ったその夜に書き上げたものなので
時期が少し遅れてしまっていますが、勿体ないので載せますww
本当は通常、2人の誕生日のみに作成しようと思っていたんですけどねー。
ま、いいか。
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『・・・でね、ママ。ここにパラパラとを振りかけて。』
『アハハ。凄いわね、Lola。可愛く出来たじゃない。』
家のチャイムが鳴る。
ママの代わりに出て頂戴、とLaurelに言われ、Lolaがインターフォンに出る。
『ママのお友達だよ。』
そう言うと、Lolaよりも先にNalaが玄関へと走った。
勢い良く、扉を開ける。
そこには笑顔のJenniferが立っていた。
『ハーイ。』
二人が小さくハイタッチをする。
笑顔のまま、Jenniferが口を開いた。
『どうしたの、二人共?顔になんか付いてるわよ。』
拭いながらLolaが答える。
『今ね、ママとチョコを作ってたの。』
『たの!』
笑顔でNalaも答える。
『そうなのね。じゃぁママはキッチン?』
『うん。』『そうだよ!』
『じゃぁ、ちょっとお邪魔するわね。』
子供達がJenniferの前をパタパタと走り、先にキッチンへと向かう。
愛らしい後ろ姿に思わず笑みが浮かぶ。
すると奥から、Laurelの声が聞こえてきた。
『手を洗って、しばらくお部屋でラッピングの準備をしてなさい。』
玄関には、大きな絵が飾られている。新作だろうか。
見たことはない絵だが彼女らしい、豪快かつ洗練された作品だ。
と、甘い香りの漂うキッチンから、Laurelがひょっこり顔を出した。
『Jenniferだったのね。いらっしゃい。』
へんてこな部屋着を見られ、少し恥ずかしそうに笑うLaurel。
『どうしたの?いきなりだったからビックリした。』
手を洗いながらLaurelが話しかける。
Jenniferは少し怪訝な顔をした。
『いきなりは、ダメ?』
『そうじゃないけど・・・』
Jenniferを見つめると、Laurelは一瞬困惑した顔をした。
踵を返し、Jenniferは近くにあった皿を手に取り、続けた。
『けど?』
『だって、こんな格好・・・なんだもん。』
Jenniferが振り返る。そして少し意地悪な目をして、こう言った。
『じゃぁ、あなたは完璧な私がいいの?』
『そうじゃないわ。』
チョコレートの入ったボールをヘラを使い、こね始めるLaurel。
『もう、いい。』
『私はよくないわ。』
彼女のヘラを持つ手を取り、Jenniferが引き寄せる。
一瞬、二人の間に沈黙がおちる。
と、Jenniferが突然吹き出して笑った。
『・・・もう。あなたまで。』
彼女の口元に付いたチョコレートを、優しく指で拭う。
その彼女の仕草に、Laurelの心臓が跳ねる。
『うん、美味しく出来てる。』
指に付いたチョコレートを、彼女はLaurelを見つめながら挑発的に舐めた。
『そうそう。こんな時になんだけど。』
少し真顔になり、Jenniferは続けた。
『これ、あなたに。』
差し出したそこには、綺麗にラッピングされた箱があった。
『そう、お察しの通り、チョコレートよ。』
そう言うと小さく笑った。
『ありがとう。』
Laurelは嬉しそうに笑うと、Jenniferにハグをした。
そしてJenniferに小声でこう言った。
『二人共、今日だけで太っちゃうから運動しなきゃね。』
すると、Jenniferが耳元で囁く。
『どうせなら激しい運動がいいわ。』
二人が大笑いしていると、子供達のはしゃぐ声が、差し込む陽の光と共に
風に乗って聞こえてきた。
February 15, 2012
The L Word Season7-10
The L Word Season7 (9) をクリックして頂くと、過去のものも一気読み出来ますので、よかったらどーぞ(^▽^;)
・・・では、Season7-10を、お楽しみ下さい
翌日。快晴。日差しが眩しい。窓から見える雪の名残が輝く。
絶好の引越日和だ。
引越は、Betteが全て業者に頼み、滞りなく進んだ。
自分達の少しの荷物をスーツケースに詰め、空港へと向かう。
アンジーは友達との別れに少し泣いていた。
最初、一足先にBetteとアンジーだけが向かう予定だったが、
仕事が早めに片付いた事で3人揃って、LAに帰れるようになった。
久しぶりに乗る飛行機。
たった数時間のフライトだが、何となく気持ちが弾んでいた。
〜LA。
Planetのドアが勢いよく開く、とShaneが明るい表情で入ってきた。
周りをキョロキョロと見渡す。
そこに笑顔を振り撒きながら、Helenaが近づく。
『いよいよね!』
鼻先をいじりながら少し照れ笑いをするShane。
『Kitは?』
『今奥にいるわ。』
『そっか、ちょっと行ってくるね!』
Shaneは足早にKitのスタッフルームへ向かう。
その姿がいつもより凛々しく、逞しい。
・・・?
Helenaは一瞬不思議に思ったが、きっと彼女達が帰ってくるからそう見えたのね、
と踵を返し、キッチンへと消えた。
ドアをノックすると、『どうぞ』と明るい声が聞こえた。
部屋には、SONYと娘のマリア、そしてKit。既にAliceの姿もあった。
『なんだ、みんな早いじゃん』
笑顔で部屋に入る。
『ちょっとShane、いつもよりおめかししてない?今度は空港のお姉さんでも落とすつもり?』
Aliceが、笑いながらShaneを小突く。
Shaneは、シャツの襟を立てながら真顔で
『そういうのは、もう、卒業したんだ。』と答えた。
その台詞にみんなが笑う。
『またまたー。今度はいつまで続くやら。』
『ね、ね。そんな事より、もう行かないと。空港に着いちゃうわ。』
バタバタとネックレスを首にかけ、Kitが車のキーをSONYに渡した。
手荷物を無事受け取り、Bette達が出口へと歩く。
アンジーは涙も乾き、笑顔で自分用のカートを押している。
と、出口にKit達の姿が見えた。
自然と皆に笑顔が浮かぶ。
『お帰り!』
Shaneが叫ぶ。
『ハーイ!アンジー、元気だった?』
Kitがアンジーを抱きしめる。
そこに、BetteとTinaが笑顔で近づいてきた。
『ハーイ久しぶり。みんな元気だった?』
TinaがAliceとふざけてハグをする。
BetteはShaneとハグをし、続けてKit、SONYとハグをしてゆく。
『なんだか、不思議ね。』
照れたようにBetteが笑う。
『何が?』
『だって、昨日NYに行って、今日帰ってきた気分なんだもの。』
『そう?私は随分待たされたって思うよ?』
笑いながら、ShaneがAliceの肩に首を擡げる。
『あんたが一番淋しがってたもんね。』
笑顔でShaneの肩に手を回す。
『ところで、Helenaは?』
『今お店を見てくれてるわ。その話は後でじっくりね。時間はたっぷりあるんだから。』
とびきりの笑顔でKitが言い、アンジーのカートに手をかけた。
空港の外には雲ひとつない、抜けるような青空。
眩しい光がBetteの視界を遮る。
振り向くと、笑顔のTinaと目が合い、目配せをした。
前を向いたBetteは大きく息を吸い込み、新たな場所へと歩きだした。
〜フランス、パリ
曇り空が、より人をアンニュイな気分にさせるわ・・・。
久しぶりにタバコをふかしながら、Jennyは街の喧騒を窓から眺めている。
今日は、いよいよ久しぶりにあの人に会うのね。
この世界に身を置いてから、いろんなことがあった。
裏切りと陰謀、嫉妬そして失望。良い事の方が少なかったと思う。
それでも私が続けてこられたのは、やっぱり人生の岐路に立つと
必ずあの人が私の前にいたから・・・。
ゆらめく煙を眺めながら、ふと小さく笑う。
・・・バカね。今更なにを言うつもり?
と、Jennyの携帯が鳴る。
相手は、取引先のエージェントからだった。
『解ったわ。今晩19時。RITZホテルね。ええ、ヴァンドーム広場なら迷わずに行けるわ。』
灰皿に置いたタバコの煙が、天井へと緩やかに伸びてゆくのをJennyは見つめ、
そしてあの日の出来事をぼんやりと回想していた。
January 20, 2012
Season7-9
誰もいない朝。
木漏れ日の落ちるキッチン。冷たいフローリング。
ここ最近ShaneとJennyの家の中は、静まり返っている。
Jennyはここのところ外出中が続いている。
聞くところによると、新たな新作映画が大手配給会社で決まったらしい。
詳しくはまたね、と言っただけで、Jennyはパリへ向けて出発した。
Shaneは・・・と言えば、暇さえあればジムに通う日々。
トレーニング後には、爽やかな笑顔でplanetにやってくる。
Jennyのいない静かな家に一人だというのに、何かつかえが落ちたような、
そんな表情を見せている。
コーヒーの香りが 心地良く充満したPlanet。
いつもの活気のある店内。
Sonyに娘のマリアを預け、Kitは今日も元気よく 新作のチーズmuffinを作る。
カウンターには、彩り鮮やかな赤ピーマンやオレンジ達が、艶やかに光っている。
カウンター越しに店内を見ると、そこには笑顔の戻ったHelenaが、颯爽とコーヒーを運んでいた。
Dylanとはまだ一緒には住んでいないようだが、こちらも憑き物が落ちたような、
澄んだ笑顔で 生き生きと働いている。
Planetの店内にも、明るい陽の光が差し込んでいた。
〜NY。
Tibetteが引越しに向け、動き出した。
NY生活(?)においての休息と、仕事を終えたAliceは、一足先にLAへと帰っていった。
亜美への想いを何も告げぬまま、彼女は日本へ送り出した。
・・・あの日、別れのあの日。
いつもなら、形振り構わず相手に縋り付くAliceが、彼女にはそうしなかった。
笑顔で見送ったよ、そう話していた。
その横顔がいつも以上に切なく、弱々しくすら見え、Aliceの本意がなんだったのか、
Bette達は触れられずにいた。
Aliceが帰ったNYは、静かなものだ。
吹雪も一緒にどこかへ飛んで行ってしまったような、穏やかな冬空。
でも、どこか淋しく感じる。
道路脇に出来た薄い氷の膜を、アンジーとその友達が大切そうに運んでいる。
真っ青な空に浮かぶ楕円型の雲が、緩やかに形を変え、伸びてゆく。
冷たくも優しい風が、街を包む。
会社から正式な辞令が下り、Tinaは取締役となった。
Betteは、娘の転校手続きと転居先の物件選びに、ばたついている。
元々住んでいた彼女達の家には、現在Kit夫婦が住んでいる。
出て行こうか?と、気を揉んでくれたKitだったが、さすがにそれには気が引け
新たな家を探した。
目まぐるしい毎日が過ぎ去り、いよいよ明日が引越当日という日を迎えた。
たった数年のNY生活。それでも、淋しさが影を落とす。
クラスメイトに貰った餞のカードが、Tibette家族の足跡を確かに物語っていた。
初めて経験させてしまう、アンジーの転校。
クラスメイトとの別れを淋しがるアンジーは可哀相だったが、逆に悲しい別れとなってくれた事が
二人の母にとって、今は嬉しく思っていた。
December 22, 2011
Happy Birthday Jennifer Beals!! -fanfiction-continuance
今回の内容については、日中にblogを読む場合は、特に御注意下さい(笑)
皆さま。
2日間という超短期間にも関わらず、たくさんの拍手とコメントをお寄せくださり、
本当に有難うございます。
pikariのわがままにも、きちんと応えてくださる皆さまに感謝しつつ、
少し早めのChristmas Presentとして、こちらをお渡ししたいと思います。
お楽しみ頂ければ幸いです。
ではでは・・・素敵なXmasを、また素敵な連休をお過ごし下さい
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扉を開けたJenniferは言葉を失う。
そこには、携帯を耳に当てたままの笑顔のLaurelが立っていた。
見る間にJenniferの瞳が潤んでゆく。
『何・・・してるの?』
『温めにきたわ。』
零れそうな笑顔でLaurelが答える。
『なんで・・・?』
『あなたに逢いたかったからよ。』
人目も気にする様子もなく、LaurelはそっとJenniferの涙をなぞる。
優しい指先がそのままJenniferの頬を包み込む。
『冷たい手。』
Jenniferは彼女の手をそっと引き寄せ、ドアを閉めた。
『本当に広い部屋ね?』
楽しそうにLaurelがおどける。
と、握りしめた手でLaurelを引き寄せ、そっと抱きしめる。
『今年は一人で迎えるのかと思ってた。』
『そんなわけないでしょう?』
Jenniferの溢れる涙を、次々とLaurelの指が受け止める。
『私はどこにいても、あなたを思ってるの。大切な人の生まれた瞬間を、私は絶対に忘れたりしないわ。』
指先がJenniferの唇を優しくなぞる。
そしてLaurelの唇が涙を拭い、彼女の軟らかい唇に吸い込まれた。
『夜景が一望出来るね。』
Jenniferが落ち着いた頃、Laurelは ふと窓際に立つ。
ベルボーイが運んで来たカートの上で、小さなクリスマスツリーと白ワインが輝いている。
彼女の背中を包み込むように、Jenniferが抱きしめる。
『あなたと見る景色なら、全てが美しく見える。』
優しく揺れながらLaurelの耳元で囁く。
Laurelは、頬を赤らめ小さく笑った。
『・・・なに?』
不思議そうにJenniferは尋ねる。
『だって、くすぐったいんだもの。』
『そうね。考えてみたら、今の私達って・・・まるでドラマのワンシーンみたい。』
抱きしめられたまま、首を擡げ、Laurelは彼女を見上げる。
『そういえばSeason2に、あなたは一夜限りの女性と、ホテルに泊まったシーンがあった。』
挑発的な目をJenniferに向ける。
『よして、、、あの頃のBetteは、私も嫌いだったんだから。』
Jenniferの力が少し緩むと、それを見透かしたかのように Laurelは彼女の腕を取った。
『でも、あのシーンのあなたは、とても魅力的だったわ。』
『今みたいに、こうして彼女を後ろから抱きしめて・・・』
振り向き様にそっとキスをする。
あのシーンとは違う、荒々しさのない甘いものだ。
頬を撫で、互いの指を絡める。
彼女の余った手を、自身の上着の隙間へと Laurel自らが導いてゆく。
おのずと二人の熱が高まる。
そして、その指先が追い撃ちをかけるように、彼女の呼吸を乱してゆく。
『・・・明かり、消していい?』
熱を帯びたJenniferの妖艶な声が響いた後、ホテルの一室がNYの暗闇に溶けて消えた。
December 20, 2011
Happy birthday Jennifer Beals!! -fanfiction-
タクシーを降り、たった一人街を歩く。すれ違う人の横顔に彼女を想う。
・・・なんて誕生日だ。車のヘッドライトがやけに眩しく感じる。
街を歩く人々の笑顔が、より一層自分を惨めにさせる。
急な仕事だった為、夫に娘を預けて単身NYへやって来た。
コートの襟を立たせ、隙間風を避けるように歩く。
このままホテルに戻りたくない。
Jenniferは近くにあった、人気の少ないバーに立ち寄った。
今日、初めて挨拶したばかりの打ち合わせ相手に、プレゼントを貰った。
それを無造作にカウンターへ置く。
虚しさを打ち消すように、カクテルとタバコを頼む。
愛想のない店員は、彼女に気付いたのか チラリと横目で見つめている。
タバコを燻らせながら、思い切り吸い込むと、久しぶりの眩暈に襲われる。
カクテルに ぼんやり映る自分の姿。
今頃彼女は温かい家で、家族と笑っている・・・。
泣きそうになる気持ちを堪え、たった1杯で店を後にした。
フロントを通り過ぎ、1人冷たい部屋に戻る。
何も考えたくなくて、コートのまま、ベッドに横たわる。
・・・と、部屋のチャイムが鳴った。
ドアスコープから外を窺うと、花束と食事らしきものを乗せたカートと
若そうなベルボーイが立っていた。
チェーンを付けたままドアを開け、『部屋を間違えているのでは?』とJenniferが尋ねると、
ベルボーイは笑顔で『いいえ、お客様へとの事でした。』とだけ告げた。
室内にカートを置き、ベルボーイが立ち去ると 静けさがまた部屋を包む。
花束には、メッセージが付いていた。
それをそっと開く。
中には懐かしい癖のある文字が、彼女の名前を呼んでいた。
Laurelからだった。
嬉しさで顔がほころぶ。と、それを見ていたかのように、携帯電話が鳴った。
『Jen、誕生日おめでとう。花束、気に入ってくれた?』
甘い声が耳元に響く。泣き出しそうな声でJenniferは答える。
『Luh、、、ありがとう。嬉しいわ。』
『仕事は終わった?』
『えぇ、今戻ったところよ。この部屋は私には広すぎて、寒くて。』
『そんなに広いの?』
『暖房、利かせているのだけど・・・広すぎてなかなか温まらないの。』
空調を見上げたその時、再び部屋のチャイムが鳴った。
『また来たわ。あなた、また何か頼んでくれたの?』
『そうよ。NYは寒いからと思って、とっておきのものを頼んでおいたの。』
電話の向こうで彼女が笑う。その甘い声が堪らなく愛おしい。
『本当?嬉しいわ。なんだろう?』
Jenniferは携帯を受話器に当てたまま、はにかむ笑顔でドアを開ける。
そこには、笑顔で受話器を当てたままのLaurelが立っていた。
・・・もし続きを読みたい方がおられたら、拍手をクリックorコメしてね(^ー^)/
December 07, 2011
Season7-8
Tinaは、昨日の大雪の影響で内勤となっていた。
『・・・でね、あの子、クラスのイジメっ子にこう言ってやったらしいわ。』
コーヒーをテーブルに置き、Betteが仁王立ちになる。
『あなた、知らないの?NY州での同性婚は合法なのよ。』
Aliceが手を叩いて爆笑した。
『まるでアンタそっくりじゃん!』
その様子をTinaが楽しそうにキッチンから眺める。
『しっかしさぁ、いまどきの子供は一端の言葉を知ってるよね。』
けしかけるようにAliceが笑う。
『それで?相手はなんて?』
『じゃぁ、お前んちの親はちゃんと結婚してんのかよって。』
『あら、言うね〜。』
零れそうになったコーヒーを拭いながらAliceは続ける。
『それじゃ、早いとこ結婚式を挙げないと。』
・・・なるほど。昨夜の事をTinaは思い出していた。
それでBetteは急に結婚式の話をし出したのね・・・。
苦笑いをしながら、冷蔵庫のドアを開ける。
冷たく冷えたミルクを取り出し、ほんの少し、コーヒーに入れる。
『で?貴女は?例の彼女とどうするの?』
座り直したBetteは、Aliceをじっと見つめる。
『さぁ。』
口元にカップを当てたまま、Aliceは答える。
『さぁって・・・あなたそれでいいの?』
『でもさ、もうじき日本に帰るんだってさ。』
『えっ?帰国しちゃうの?それでいいの?』
追い撃ちをかけるように台所越しからTinaが尋ねる。
『いいもなにも。私にゃ決められないじゃん。』
むっとした声で、Aliceが答える。
『違うのよ。私たちはあなたの気持ちを聞いているだけで・・・。』
黙ったまま、立ち上がるAlice。その目は二人を見ようとしない。
『ご馳走様。さてと、今日のあたしは忙しいのよ。またね。』
逃げるように玄関へ そそくさと向かう。
その後姿を、二人は心配そうに見つめ、そして何も言わないまま互いを見つめ合った。
〜LA。
ShaneはBedに一人寝転び、何かを読んでいる。
開け放した机の引き出し。
少し散らかった引き出しの中身が、はみ出しているのが見える。
Shaneが手にしているものは、以前Jennyから受け取ったMollyの手紙だった。
幾度となく読み返しただろう、細かなシワが手紙を泳いでいる。
彼女の書いている、この有効期限はいつまでだろうか。
横たわったまま寝返りを打ち、Shaneは天井を見上げた。
『そろそろ私達も 成長する頃なのかもよ。』
あの日のKitの声が優しく響く。
そうだ、自分から変わらないと。でも・・・今の自分に何が出来るのだろう。
Bedの脇に無造作に置かれた新聞。それにふと目をやる。
何気にそれを手に取り、パラリとめくる。
と、Shaneは一点を凝視していた。
それは、とある大会の出場者募集の文字。
Shaneは深呼吸をすると、唇を噛み締めたまま、携帯の番号を押しはじめた。
〜病院。
Dylanの献身的な看病もあって、Helenaは無事退院する運びとなった。
しかし、互いに多くを語らぬ日が続いていた。
二人の間で、何も進展する事もなかった。
『本当にもう、大丈夫だから。』
荷物を片付けながら、Helenaは重い口を開いた。
『うん、、解ってる。』
顔を上げることなく、DylanはBedのシーツを片付けている。
『・・・・・・ありがとう。』
少し、驚いたようにDylanが顔を上げた。
窓から柔らかい風が入り、カーテンをそっと揺らす。
木漏れ日が真っ白なシーツを照らしている。
『・・・・・ううん。 よかった。』
そこには、久しぶりに見る彼女の小さな笑顔があった。
その顔をじっと見ていると、Helenaは突然涙が零れてしまった。
見る間に、景色がかすんでゆく。
『なんで?・・・・え?なんで泣くの?』
シーツを持ったまま、Dylanが彼女の元へ歩み寄った。
背中に優しい光と影が揺れている。
『わかんない。ただ、、、、』
『・・・ただ?』
零れ落ちる涙を拭いながら、Helenaは絞り出すように声を出した。
『ただ、、、、ずっと貴女に逢いたかったの。』
すると、真白いシーツにフワリとHelenaが包み込まれた。
抱きしめた彼女の肩が震えている。
『ゴメン・・・。』
彼女を握りしめたDylanの指もまた 震えていた。
『信じて欲しいって、もう言わない。でもこれだけは言い続けるわ。』
真っ直ぐな目をDylanはHelenaに向けた。
『あなたを愛してる。』
パタパタと、廊下を急ぎ足で歩く看護婦の足音が、小さく消えていった。
November 01, 2011
Season7-7
週末の予報よりも早く、今年は雪が降った。
引っ越した当初は、アンジーも物珍しさに目を丸め、はしゃいでいたが、
今年の雪は違った。
例年を遥かに超える積雪量で、学校は休校。
都市部にも、大規模な交通マヒが起きた。
撮影で連日泊まり込みだった、Tinaの機嫌は最悪だ。
予定を大幅に変更させる為、朝から缶詰で打ち合わせに入った。
〜夜。
NYの街は大渋滞に見舞われ、やっとの思いで自宅に到着する。
車を止め、足元に纏わり付く憎らしい雪を払いながら、玄関のドアを開けた。
『お帰りなさい。』
暖かい食事と、大切な家族が目に飛び込む。
愛する二人の笑顔を見ると、自然と疲労も緩んだ。
『ママの手、すっごく冷たいよ。』
アンジーに手を引かれ、笑顔で暖炉の前に座る。
小さな温もりのある両手は、冷え切ったTinaの心をも温めてくれた。
『さ、ご飯にしましょう。』
明るい声でBetteが声をかける。
『今日は、アンジーとママTの大好きな コラードグリーンのグラタンと、マスのグリルよ。』
『良いこと、あったからね。』
ウインクを交わす二人。
『何?ママTにも教えて。』
アンジーが、ちょこんと椅子に座る。
続けてTinaも座った。
アンジーは嬉しそうに、学校の話を始めた。
『今日、先生からも連絡があったのよ。』
そっくりな笑顔で二人はTinaを見つめる。
『・・・でね、そばかすLindaも、乱暴なJohn達も、もうしないって。』
『そう、よかったじゃない。みんなにちゃんと言えた?』
『うん、また意地悪言われるかもしれないけど、そしたらJohnがお前の事、守ってやるって。』
『そうなの、だからご褒美なのね。』
娘の向こう側で、潤んだ瞳をそっと拭うBetteが見える。
Tinaは、とびきりの笑顔を二人に向け、こう言った。
『じゃぁ、今夜はパーティーね!』
静かな夜。
いつもより、少し長めのバスタイムだ。
Tinaは、パジャマ姿でダイニングへと歩きながら、濡れた髪をタオルで乾かしている。
『・・・そういやさぁ、あんた達って結婚式、まだしてないよね。』
Aliceに言われた台詞を、Tinaはふと思いだした。
暖炉の前のソファーに、腰掛ける。
『・・・眠ったわ。』
娘の寝室から、Betteがやってきた。
『何か飲む?』
キッチンに立つ彼女の姿にも、もう見慣れた。思わず笑みが零れる。
『なに?』
Betteが笑顔で尋ねる。
『ううん、別に。』
笑いながら、Tinaが席を立つ。
『何よ?気になるじゃない。』
笑顔のまま、尋ねるBette。
チン、と タイミング良くグラスの弾く音が響く。
『前にね、ほら、ここに越して来る時、Jamesも来ない?て誘ったら・・・。』
『あー、あったわね。私がしばらくはTinaに養って貰うからって言った。』
『そしたら皆が笑って。・・・なんで皆、笑ったのかしら?』
ワインを注ぎながら、Betteが尋ねた。
グラスのなかで、淡く黄色い泡が楽しげに弾けている。
『貴女が仕事人間だからよ。』
Tinaは歩み寄り、Betteに優しく抱きつく。
『今の私を見たら、やっぱり笑うかしら?』
少し拗ねた声で、Betteは尋ねる。
Tinaの少し裾長の袖を、指先でそっとなぞる。
『そんなことないわ。貴女はなんでも極める人だから。』
そう言うと、Tinaは少し背伸びをして、彼女の首筋に優しくキスをした。
Betteは嬉しそうに振り返り、そして二人は抱き合った。
『ねぇ・・・結婚式、いつにしようか。』
唐突な話に驚き、Tinaは思わずBetteの顔を見上げ、目を丸くした。
さっきの心を 読まれたかのような気分だ。
Betteはそっと彼女にグラスを渡し、自らも少しだけワインを口にする。
『どうせなら、ここでしたいわ。皆も呼んで。』
LAの夜、Betteが言った言葉は、本物だったとTinaは改めて悟った。
『・・・忘れられたかと思ってた。』
満面の笑みで、Tinaが答える。
『忘れるわけないでしょう?愛する人が忙しそうだから、奥様は気を利かせて待ってたのよ。』
Betteが笑う。
グラスを置き、甘えるように、Tinaが彼女にキスをした。
二人は腕を絡ませ、歩きながら何度もキスをした。
Tinaが寝室のドアにもたれかかり、Betteを受け入れる。
Betteは、右手をそっとTinaの膨らみの元へと滑らせる。
彼女の甘い吐息が、耳元で聞こえた。
もう一方の手で、柔らかな頬を優しくなぞる。
雪が深々とカーテンの隙間から降り積もっているのが見える。
二人は、更に奥へと唇を押し当てた。
飲んだばかりの甘いワインの香りが、鼻腔をくすぐる。
背中で感じる寝室のドアが、冷たく心地好い。
二人はドアに身体を押し当て、そして身を委ねた。
Betteは一瞬膨らみから悪戯に手を緩め、そのままドアノブへと手を伸ばす。
小さくカチリと音を立て、寝室が開いた。
窓の向こうに、白銀の世界がチラチラと見える。
深夜にも関わらず、一際白がぼんやりと明かりを照らしていた。
『今日は寒いから、温まりましょ・・・』
暗闇でBetteの囁く声が小さく聞こえ、そして静かにドアが閉まった。
October 25, 2011
Season7-6
お待たせいたしました(笑)
・・・今回は頑張って、書いてみましたよ。
あれ?もう、忘れかけてますか?やっぱり遅い?
Season7-6です(笑)
やっぱりパリパリ、予定以上にepが増えそうな予感・・・(^▽^;)
みんなが飽きなければ。
pikariが飽きなければ(爆)
前のep忘れちゃったよっていうそこの貴女。
パソコンのトップページの左下にいってもらうと、Categories(カテゴリー)と
いう欄があります。そこに分けてありますので、そこから入って思い出しつつ
読んでいただけると嬉しいです。
ではでは、、、お楽しみ下さいマセマセ(*ノ∀`*)ゞ
☆*゚ ゜゚* *+:。.。:+* ゜ ゜゜ ☆*゚ ゜゚* *+:。.。:+* ゜ ゜゜ ☆*゚ ゜゚* *+:。.。:+* ゜ ゜゜ ☆*゚ ゜゚* *+:。.。:+* ゜ ゜゜
『・・・そういう訳で、越す事になったからさ。』
Shaneに告げ、Aliceは勢い良く受話器を置いた。
満足げなその表情からは、うっすらと笑みか零れている。
亜美の部屋には、トランクに詰めただけのAliceの荷物が転がっていた。
Aliceは、彼女が学校に行ってる隙を見て、Bette達の家を行き来していた。
呆れるBetteをよそに、涼しげな面持ちで執筆活動を続けていた。
『気持ちが落ち着いたのなら、一度帰った方がいいんじゃない?』
という、Tinaの助言にも耳を貸そうとしない。
ライターは、どこにいても出来る。だからこの職業を選んだのだ。
『さてと。少しは整理でもしてあげますか。』
満足げな顔でAliceは立ち上がり、美味しそうに、残りのエスプレッソを飲み干した。
〜LA。
Aliceの電話を受け、Shaneは少し浮足立っていた。
その足でプラネットへと向かう。
と、入り口近くでKitとぶつかりそうになった。
『おぉっと!危ないわよ、あらっShaneじゃない。』
『ゴメンKit。・・・で、聞いた?』
『もちろん。』 笑顔のままKitが答える。
『Aliceから』
同時に発したその台詞に、二人がまた爆笑した。
『ところで、Jennyは?来てない?』
シャツをくしゃくしゃと掻きながら、Shaneが尋ねる。
『朝来たわよ。なんだか忙しそうに電話で打ち合わせをしてたけれど。』
『そっか。 あ、Helenaは?まだ休んでるの?』
『まだ。でも大丈夫よ。Dylanがついてるから。』
『お見舞い・・・行ったら邪魔になるかな?』
『そんな事ないわよ。退屈してると思うから、時間があるなら行ってあげて。』
Kitを呼ぶ声がキッチンから聞こえる。
『じゃ、お嬢ちゃん。良い一日を。』
『ありがとう。Kitもね。』
サラダボールを持ったまま、ウインクをしてKitが立ち去った。
仲間が誰もいないプラネット。
そんな日がTibetteがいなくなってからは、やはり多くなった。
みんな、変わっていくんだよな・・・。
カフェラテを1人飲みながら、成長していない自分をラテ越しに見つめる。
その影は頼り気なく、揺れている。
携帯を取り出し、壁紙をじっと見つめる。
肩を組み、とびきりの笑顔で笑うShaneと Shay。
ふと、プラネットにひと際大きな風が店内を横切る。
・・・よし。
力強く立ち上がり、Shaneは自宅へと駆け出した。
〜NY。
会議室。ペン先を口元に当て、Tinaは考えこんでいた。
机の上を、柔らかなtouchで指先を滑らせる。
役員会議で可決されるのは間違いない。
・・・新たな経営者としての責任。
ペンを置き、顎に手を当てたまま、考えこむ。
心地好い風が開いた窓から滑り込み、無造作に置かれた書類の間をパタパタと揺らしている。
NYに来て、約2年。
嬉しい気持ちはあったが、ここに来てからの充実した日々を思うと、不安も過ぎった。
でも決めた事だ、やるしかない。
『私は大丈夫。』
ふうっと息を吐き、乱れた書類に手を伸ばす。
その視線の先には、笑顔でTinaを見つめる母子の写真があった。
夕食の献立を考えながら、Betteは一人暗い影を落としていた。
夕暮れ前のスーパーは、主婦で一杯だ。
食材を、カートの中のカゴに乱雑に入れてゆく。
娘の今後が気掛かりだった。
もちろん、今迄も考えなかったわけではない。
いつかはぶつかるであろう、偏見という壁。
『考えたって仕方ないじゃない。起こってしまった事実に対して私達は向き合った。
あとは彼女に任せる。そう決めたんだから。』
楽観的に話すTinaにも、少々腹が立った。
でも彼女が正しいのもわかっている。
商品をカウントするレジ音が、響く。
『・・・・です。』
Betteは深いため息をつく。
財布の中で笑う、娘の写真がいつもより切なく映った。
と、店員が少し小さな声で尋ねてきた。
『足りないなら、どれか返品しますか?』
その声でハッと我に返り、Betteは厳しい顔のままこう答えた。
『いえ、平気よ。お金も、うちの子も。』